西念寺

寺院
寺院
この記事は約4分で読めます。

西念寺(さいねんじ)は、茨城県笠間市にある寺院で、「稲田御坊」「稲田禅房」とも呼ばれる浄土真宗別格本山です。越後に配流された親鸞聖人が赦免後20年ほど滞在して東国布教の拠点とした「稲田の草庵」が寺院となったもので、『教行信証』の草稿が書かれたのもこの場所とされており、「浄土真宗立教開宗の地」として知られます。茅葺きの山門は室町時代の建立といわれ、境内には他にも親鸞聖人の遺骨(分骨)を納めた御頂骨堂や太子堂、太鼓堂などの建物があります。

旅行先の地図

旅行先の概要

御本尊 阿弥陀如来
所在地 茨城県笠間市稲田469
交通 JR水戸線「稲田駅」から徒歩約15分
北関東自動車道「笠間西IC」から車で約5分
JR笠間駅から茨城交通バス(桃山行き)経由で約15分、「西念寺」停留所下車
拝観料 無料
駐車場 国道沿いに第1駐車場、境内脇に第2駐車場あり(ともに砕石が敷かれた駐車場で無料)
URL
連絡先 稲田禅房西念寺 0296-74-2042

歴史・由来

西念寺(さいねんじ)は、茨城県笠間市にある寺院で、「稲田御坊」「稲田禅房」とも呼ばれる浄土真宗の別格本山です。

浄土真宗の開祖にあたる親鸞聖人は、後鳥羽上皇による「承元の法難」で越後国府に流罪となりますが、建暦元年(1211)に赦免の宣旨が下され、その後建保2年(1214)になると、鎌倉幕府の有力御家人・宇都宮頼綱の弟で、常陸国稲田郷の領主でもあった稲田九郎頼重に招かれ、彼の地に下向して草庵を開き、東国での布教活動に専念します。

この「稲田の草庵」での布教活動は、親鸞聖人が再び京都に戻るまでおよそ20年ほどの長きにわたっており、主著『教行信証』もこの場所で書かれ、元仁元年(1224)に草稿が成立したことから、「浄土真宗立教開宗の地」として知られています。

出家した稲田頼重(よりしげ)は頼重房(らいじゅうぼう)教養を名乗って帰京後の草庵を念仏道場とし、後に嘉元2年(1304)になってから寺院化して「西念寺」を称するようになり、一時宇都宮氏の改易で庇護者を失うものの、慶長7年(1602)に笠間城主・松平康重の家老で本多正信の伯父にあたる石川信昌によって復興され、江戸時代には朱印地30石の大寺として栄えます。

境内には室町時代の建立とされる茅葺きの山門、江戸時代の天保年間に建立された太鼓堂のほか、親鸞聖人の頂骨(頭骨)を納めた御頂骨堂(大正時代の再建)、水谷正村(水谷幡龍斎)に敗れて当寺に落ち延びた笠間城主・笠間時広が寄進したという太子堂(江戸時代の再建)などの建物があります。

車椅子で旅行するポイント

西念寺_1.jpg

【1】国道沿いに「稲田御坊」の大看板があり、その脇は聖橋と第1駐車場になっている。

西念寺_2.jpg

【2】参道をさらに車で進むと境内南脇に砕石が敷かれた第2駐車場がある。

西念寺_3.jpg

【3】舗装された参道を正面から進むと山門に至るが、途中と山門の敷居に段差がある。

西念寺_4.jpg

【4】第2駐車場奥の西門は舗装された坂道となっていて境内の本堂左手に出られる。

西念寺_5.jpg

【5】西念寺の境内。中央の参道部分は平坦な石畳、御頂骨堂や太子堂は階段上の山腹にある。




西念寺境内図

境内配置図 [凡例]
本堂:建物は平成の再建だが本尊阿弥陀如来は慶長2年(1597)宇都宮家改易の際に城内から持ち出され寄進を受けたものという。 客殿 宿坊 鐘楼:旧御頂骨堂の跡地に建つ。 太子堂 御頂骨堂 経蔵:唐本一切経は茨城県指定文化財。 太鼓堂 西門 黒門 山門 水屋 お葉付きイチョウ:親鸞聖人お手植えと伝わる大木で茨城県天然記念物。 御杖杉:親鸞が杉の杖を地面に挿すと根を張り大木になったという伝説をもつ大木で切り株のみが残る。 神原の井:老翁の姿に化した鹿島大明神が親鸞の弟子になり井戸を献上したという伝説がある。 弁円回心の桜:親鸞襲撃を企てるも逆に帰服した山伏弁円の話を伝え聞いた笠間城主・笠間時朝が草庵に寄進したという桜で切り株のみが残る。 見返り橋:親鸞帰京の際に恵信尼ら家族との別れを惜しんで振り返ったという橋。耕地整理のため元の場所とは異なる。 聖橋 第1駐車場 第2駐車場 林照寺:真宗寺院で江戸時代の北陸移民が建立した萱葺きの本堂がある。 鉾田八幡宮 国道50号

移動のしやすさ ★★★☆☆
バリアフリーの状況 西念寺正面参道から自動車で山門手前まで行けないこともないが、第2駐車場の奥にある西門ならば舗装された坂道からのアプローチなのでこちらを登って境内に入る。御頂骨堂など山上の建物には階段のため登れないが、その他は参道部分が石畳となっている。1.5キロ北の稲田駅前にスロープ付きの公衆トイレがある。

周辺の名所・観光スポット

茨城県陶芸美術館

「伝統工芸と新しい造形美術」をテーマとする広大な「笠間芸術の森公園」の中にある陶芸専門の美術館で、平成12年4月に開館。茨城県出身で近代陶芸の祖とされる板谷波山や人間国宝・松井康成など現代陶芸の作品を一堂に集める。
【身障者用駐車場・エレベーター・トイレ・スロープ・車椅子貸出あり。障害者手帳所持者および介護者1名まで無料】

■参考リンク:茨城県陶芸美術館