鋸山日本寺(日本寺大仏)

鋸山日本寺(日本寺大仏) 寺院

日本寺は、高さ日本一の磨崖仏「日本寺大仏」のある曹洞宗の寺院で、東京湾を見下ろす鋸山の南斜面約10万坪が寺域となっています。神亀2年(725)に行基が開山したと伝えられ、急峻な参道の階段の途中には無数の石仏や石窟がみられます。

広告

旅行先の地図

旅行先の概要

この寺院の境内はほとんどが階段路であり、階段のないルートは1か所(大仏前参道経由)で、「日本寺大仏」のみの参拝となります。また、ルート上の一部に急傾斜の坂道があるため、この区間については自力歩行が望ましく、介助があっても車椅子乗車のままではかなり危険です。詳しくは写真の解説を参照してください。

御本尊 薬師瑠璃光如来
所在地 千葉県安房郡鋸南町元名184
交通 富津館山道路「富津金谷IC」から鋸山登山自動車道(普通車往復1,000円)経由、車で約15分
拝観料 大人600円、小人(4~12歳)400円【身障者は手帳提示で本人及び介助者1名まで半額】
駐車場 次の場所に舗装済みの駐車場あり

  • 鋸山登山自動車道(有料)沿道の大仏口管理所前、西口管理所前(山頂)
  • 鋸山観光自動車道(無料)の東口管理所階段下(終点)
  • 国道127号沿道の鋸山保田口バス停前(表参道入口)
  • 鋸山ロープウェー山麓駅前
URL
連絡先 日本寺管理所 0470-55-1103

歴史・由来

日本寺は、千葉県鋸南町にある曹洞宗の寺院で、高さ日本一の磨崖仏である薬師瑠璃光如来、別名「日本寺大仏」で知られています。

東京湾を見下ろす鋸山の南側に約10万坪の広大な寺域を有しており、一帯は鋸歯状の凝灰岩が連なる断崖で、江戸時代には「房州石」の採石が盛んでした。

縁起によれば、聖武天皇の勅願により神亀2年(725)に行基が開山し、自ら薬師如来を刻んで中腹の石窟に安置し、のち七堂十二院百坊の伽藍を整えたとされています。

その後弘法大師空海や良弁僧正、慈覚大師円仁も来山したといい、源頼朝は養和元年(1181)に薬師本殿を再建、南北朝時代の元弘元年(1331)に火災に遭うも、貞和元年(1345)に足利尊氏が再興したといいます。

始めは法相宗の寺院でしたが、円仁来山後は天台宗に転じ、天正年間(1573-92)には富浦正善院(現・南房総市)配下の修験寺となり、江戸時代に入って徳川3代将軍家光治世の正保4年(1647)、普照禅師により曹洞宗に改宗されました。

また、日本寺本堂はもとは鋸山山麓の元名村に、薬師堂は中腹に、観音堂は南麓の岩殿(いわぶ)山にあって「岩戸観音」と呼ばれており、俳人の小林一茶や漢詩人の梁川星巌、儒者の安積艮斎など多くの文人墨客が訪れていますが、江戸後期の安政3年(1856)、日本寺9世・高雅愚伝禅師のときに現在のように山腹に移転し、あわせて千五百羅漢の造立が発願され、上総国の石匠・大野甚五郎英令が像を刻みました。

往時はさらに多くの堂宇を誇っていましたが、明治時代の廃仏毀釈の影響によるほか、昭和14年(1939)に登山者のタバコの不始末による山火事で本堂含め多くを焼失、戦時中は東京湾要塞の構築が盛んになるなどして復興が遅れ、現在も本堂をはじめとする堂宇の再建整備が進められています。

「日本寺大仏」も天明3年(1783)に大野甚五郎が3年の歳月をかけて岩山に彫刻した薬師如来が原型で、当時の像高は9丈2尺(約38メートル)と、奈良大仏の約16メートル、鎌倉大仏の約13メートルを凌ぐ規模であったといわれていますが、その後風化により崩落したため、昭和44年(1969)に復興され、現在の像高は約31メートルとなっています。

車椅子で旅行するポイント

この寺院の境内はほとんどが階段路であり、階段のないルートは1か所(大仏前参道経由)で、「日本寺大仏」のみの参拝となります。また、ルート上の一部に急傾斜の坂道があるため、この区間については自力歩行が望ましく、介助があっても車椅子乗車のままではかなり危険です。詳しくは写真の解説を参照してください。

日本寺大仏

【1】鋸山登山自動車道の途中にある駐車場から大仏口へ。境内ほぼ全て階段で、ここは階段のない唯一のルート。

日本寺大仏

【2】大仏口から入り大仏前参道を行く。舗装済だが管理所付近の一部区間は急傾斜の坂道につき自力歩行を。

日本寺大仏

【3】大仏前参道の終点付近。平坦な石畳で舗装され、傍らに売店・自販機あり。階段下るとトイレがあるが、身障者用ではない。

日本寺大仏

【4】日本寺大仏。車椅子で行けるのはここまで。大仏前は1段高いテラス状で、賽銭箱が置かれている。

日本寺大仏

【5】他のルートはすべて相当の段数の階段路となっており、車椅子では移動不可。



鋸山日本寺境内図

周辺の名所・観光スポット

鋸山ロープウェー

鋸山山麓駅から山頂駅を4分で結ぶ全長680メートルのロープウェイで、開業50周年を迎える。眼下に鋸山の奇岩絶壁や東京湾の風景が広がり、晴天時には富士山までもが眺望できる。
【山麓駅に身障者用トイレ・駐車場あるもバリアフリー対応施設ではないため職員の介助による乗車を要す。身障者手帳・療育手帳提示で半額減免。なお、山頂駅から日本寺へは境内階段につき車椅子不可。】

■参考リンク:鋸山ロープウェー

菱川師宣記念館

「見返り美人図」などの浮世絵で知られる菱川師宣の生誕の地である鋸南町に開設された美術館。国道127号沿いの「道の駅きょなん」構内にある。菱川師宣の生い立ちや浮世絵の歴史などを解説しているほか、浮世絵や近世庶民風俗に関する企画展が行われる。
【身障者用トイレ・駐車場・スロープあり。身障者は半額減免。】

■参考リンク:鋸南町>菱川師宣記念館

マザー牧場

鹿野山に位置し、約250ヘクタールの広大な敷地を有する観光牧場。菜の花やコスモスが咲く花畑、動物のショーやふれあい体験、各種クラフト工房、レストラン・カフェなど様々な施設やイベントがあり終日楽しめる。
【身障者用トイレ・駐車場・車椅子貸出あり。路面舗装済で段差はないが場所によっては急傾斜の坂道あり。身障者手帳提示で料金割引あり。】

■参考リンク:マザー牧場